仲良くできない?

「はーい!」

そう返事をしたアキは屈託のない笑顔をこちらに向けて隣に並んだ。急な城内案内の命令を受けて、ウキツはアキを連れ歩いていた。

(なんか、すっかり懐かれた……か?はじめの頃は怯えた顔してたっつーのに。それが気に入らなくてオレもつい色々言っちまったっつーのもあるんだが)

考えながら歩いていると、控え目に肩を叩かれる。

「どした?」
「あの……さっきすれ違った人たちって……?」

そう言われ、通り過ぎた道を振り返る。軍の中でも警備隊を良く思っていない連中とすれ違っていたらしい。

「さあ?軍のヤツらだろ?」
「なんか、すっごく睨まれていた気がしたんですけど……」
「そーかぁ?」

気のない返事に、アキは表情を曇らせた。

「やっぱり、この歳で、しかも女の子が専属鍛冶師だなんて……。良く思わない人もいるんでしょうか……」

小さな呟きが聞こえてきて、アキが勘違いをしているのだと気がつく。ウキツは呆れてアキの額を軽く小突いた。アキが大げさにのけぞって顔をしかめるので、ウキツは意地悪く笑う。

「睨まれてたのはお前じゃねーよ。大体、アキが品評会で優勝したのを城の人間は知ってる。そりゃすげー鍛冶師様だと思ってるだろーさ」
「じゃあどうして?」
「オレら警備隊みたいな特別待遇を気に入らねーってヤツらがいるんだよ。ま、気にしちゃいねーけどな」
「そう……なんですか?私、王立警備隊ってお城でも憧れの存在なんだと思ってました。皆、悪い人じゃないのに」

アキは考え込むように来た道を見つめている。警備隊がどう思われていようと、アキには関係のない事だ。

「ほら、何してんだ。行くぞ」
「あ、はい!」

(けど専属鍛冶師か。……一応、気にしとくか)



・ CLAP