SNOW SWEETS

アクト×アキ

買い物に行くとアキが言い、監視のためアクトはそれについて来た。入口付近で待っていると、既に両手で荷物を抱えたアキが小さく唸り声をあげているのが見える。陳列棚に手を伸ばし、そこから品物を取り出そうとしていた。思うようにいかないと言う顔と、支払い済みの食材が袋からこぼれ落ちそうになるのを見て、アクトはやれやれ、とアキから紙袋を取り上げた。

「あ、ありがとう」

アキが驚いた顔で礼を言い、目的の品に向き直ると一つ手に取った。近付くまでは気がつかなかったが、この陳列棚付近は他と比べやけに冷えている。それもそのはず、アキが手に取っていたのは氷菓子だったのだ。人の好き嫌いをとやかく言うつもりはないが、今日のこの地域の気温が氷菓子なみに冷え切っていることを知っていてそれを買うのかと少し呆れた。

「アクトも食べる?」

二つ目のそれに手を伸ばしながら、アキがたずねてくる。返事は口にこそ出さなかったが、表情で十分に伝わったらしい。

「だめ?変かな……あったかい部屋で食べるの。おいしいよ?」
「別に止めないから、自分の分だけ買えばいいだろ?」

アクトが乗り気でないのを見て、アキは自分の分まで買うのを渋りだした。

「なんでそうなるんだよ」
「だって」

アキは口ごもってアクトを見上げる。

「せっかくだからこの楽しみを共有したいなって。今は気分じゃなくても、後で食べたくなるかもしれないよ?」
「……好きにしろ」

この程度のことでくだらないと思う気持ちも確かにあったが、近頃は別行動をするカヤナを想い覇気のないアキを見ていたこともあり、何となく受け入れてしまった。途端にアキが笑顔になる。

「あ、二つ買うより大きいの一つ買う方がいいかな?アクト、甘い物平気?たくさん食べる?」
「いいから小さい方二つにしとけって」

軽く背中を押すと、アキは大人しくそれに従った。

「わかった。買ってくるね」



やはり冷たい。そして甘い。口に含んだそれは予想通りの味がした。アキは不必要なまでに笑顔をふりまいて、機嫌がよさそうだ。

「おいしい」

あっという間に一つをたいらげると、紅茶をすすりながらアクトが食べ終えるのを待つ。アクトはまだ半分に差し掛かったところで、実のところこれ以上食べられそうになかった。アキの方へ氷菓子を押しやる。アキが首をかしげた。

「やる」
「……いいの?」

アクトが頷く。少しはためらうかもしれないと思ったが、アキはこれ以上ないくらい顔をほころばせてそれを受け取った。一緒に食べたいと見上げてきた先程とは大違いだ。まあ、本人が満足しているようなので文句はないが。



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